「今回は、屋根材についてのお話しです」
弊社では、現在新築やリノベーションでご提案している屋根材で「陶器瓦」もしくは金属屋根の高耐久SGL「ガルバリウム鋼板」の屋根材を推奨しています。
「陶器瓦」は、字のごとく陶器の器と同じで原料は土で瓦の形に成形して、釉薬をかけて1200℃以上の高温で焼き締め(焼き固める)ます。
高温で焼き締めを行うと一般的な焼き物で1割程度、岡山県の備前焼は2割程度縮むと言われています。
焼き締めることで器としての強度が出ます。
メリットとして
- とても耐久性が高く60年以上は問題なく存在すると言われている。
- 再塗装の必要がない。
- 雨音が静か。
- 瓦の下の瓦桟で通気層ができるため断熱効果があるなどです。
デメリットとして
- 初期コストが高い。
- 防水ルーフィングが60年以上の耐久性があるものが無いので、いずれ陶器瓦を下し、ルーフィングの交換、若しくは瓦まで交換する必要が出てきます。
- 台風で何かの飛来物で瓦が割れた場合、早めに瓦補修をしなければ防水ルーフィングの劣化、漏水につながります。
※値段は高くても出来るだけ耐久性の高いルーフィングで施工することをお勧めします。 - 屋根が重くなり2階建てになると地震の影響を受けやすくなりますので、それなりに頑丈に造れば(耐震等級3)問題はありませんが、現行の建築基準法(耐震等級1)で造ってあると大きな地震では倒壊の心配もあります。
和瓦
洋瓦
フラット瓦
「ガルバリウム鋼板」は、元の基材が鉄板で錆びが発生しにくいように、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%からなるアルミ亜鉛合金メッキの鋼板で表面は、塗装で様々な色の表現をしています。
通常、ガルバリウム鋼板をGLと建築関係者は略称で言います。
耐用年数は立地条件で異なりますが10年(重工業地帯)から20年(一般住宅地)程度と言われています。
ガルバリウムが誕生してから30年ほど経過し、よほどの悪環境でなければ表面の塗装以外の基材部分は20年以上、錆に耐えているという話は板金の専門業者から良く聞きます。
高耐久SGL「ガルバリム鋼板」は、通常のガルバリウムに2%のマグネシウムを加えさらに長寿命化させた材料です。
メリットとして
- 陶器瓦より値段が安い(2021年現在)。
- 施工性が良いため工期の短縮ができるので屋根の雨仕舞(雨の侵入を防ぐ)が良い。
- 台風や大雨でも棟換気以外からの雨の侵入がほとんどない。
- 陶器瓦の10分の1の重量で建物に負担を掛けない、耐震性が良い。
- 雨水の流れが非常に良いため陶器瓦より緩い屋根勾配で対応できる。屋根面積を少なくできる。
- 陶器瓦より軽いので、軒を長く伸ばすことができる。
- 材料が薄いので、スッキリしたデザインの建物になる。
デメリットとして
- コロニアルやシングル屋根からすると値段が高い。
- 強い雨が降ると雨音が気になる、うるさいという方がいます。
※音の軽減は二重垂木・二重通気工法なら通気層があるため気にならないという方もいます。 - 台風などで飛来物が当りヘコミ傷ができ元に復元するのが難しい。
深い傷は早めに補修しないと錆が出る可能性がある。
ガルバ施工
ちなみに、金属で昔から使われている商品で、「ブリキ」と「トタン」があります。
「ブリキ」は、鉄板にスズをメッキしたもので耐用年数が10年程度と短いために、住宅用より缶詰の缶やおもちゃに使われることが多い商品です。
「トタン」は、亜鉛でメッキした鉄板です。
トタン屋根というくらいでガルバリウム鋼板が出る前の主流品でしたが、耐用年数が10年から15年程度で一旦錆が出るとどんどん広がっていく商品で時代とともに使用頻度が少なくなりました。
陶器瓦やガルバリウム鋼板を半永久とかメンテナンスフリーと言って、何のメンテナンスもしなくて良いような話をする住宅会社もありますが、メンテナンスのサイクルの頻度は少なくなることはあっても全くメンテナンスが不要という商品はありませんので、紛らわしい言葉には気を付けましょう。
要は湿気対策、通気対策、耐久性の高いルーフィング等、正しい材料の組み合わせと、正しい施工をしないと表面的な材料が優秀でも、必ず何らかのメンテナンスが早めに来ることは知っておきましょう。
金額は安いですが、コロニアル、セメント瓦等、セメントを主成分とした屋根材は、割れやすく7年から10年毎に塗装が必要で、基本的に20年から30年で吹き替えをした方が良い屋根材です。
ランニングコストを考えると、初期投資のつもりで高耐久防水ルーフィングと陶器瓦かSGLガルバリウム鋼板の屋根材を選択されることをお勧めいたします。
コロニアル
セメント瓦
いずれの材料も、海岸近くで塩害のある場所、工業地帯の近くで排煙に含まれる化学物質による劣化、幹線道路近くで車の排気ガスを受ける地域、鹿児島は何と言っても硫黄の成分を含む桜島の降灰の影響がある地域等、立地条件で耐用年数やメンテナンスの年数が変わりますので、自分がどのような地域に住んでいるのかも理解しておく必要があります。
ちなみに、鹿児島県のある地域で、工場の排煙で家の屋根と壁が黒く汚れている(太陽光発電がほとんど無意味)地域、車や鉄の材料が錆びやすい地域もあります。
弊社では、「失敗例に学ぶ・暮らしを整える」家づくり個別セミナーを実施しております。
今回の屋根の材料について、土地の選び方、外壁材の選定の仕方、高気密・高断熱住宅、自然素材の家など、家づくりで知りたいことがありましたら、ご予約の上、セミナーにご参加ください。
少しの勉強が皆様の家づくりを成功に導きます。