「壁の断熱材と断熱性能」についてのお話です
断熱材は、現代の住宅には欠かせない大切な住宅建材になってまいりました。
断熱材は、「熱」を「断つ」と書きますが、実際は「熱」を「伝えにくく」する建材です。
正匠では、外断熱・二重通気工をZEH基準（2022年新基準の断熱等級5で施工）
そもそも断熱材の役割は、家の中の冷暖房の熱を外に逃がしにくくして、省エネで健康的にも良い快適な住環境（温熱環境）をつくるための建材です。
ただし、断熱材だけが分厚くても無駄で、窓の「断熱性能と気密性能」、建物の「気密性能」も高めないと意味がありません。
※気密測定は、工事中に行い隙間を発見出来たら気密テープや発泡ウレタンやコーキングで隙間をつぶす作業ができます。完成後の気密測定はどこに隙間があるか分からず精度を高めることができませんので、気密測定は必ず工事中に行いましょう。
家を建てる時は、住宅会社に気密測定は行うのか、行うとしたら工事中か完成時か、そして平均的な気密測定値＝C値を確認して業者選びの一つの材料にしましょう。
断熱材は種類も施工方法も豊富ですが、断熱材選びは名前だけでなく、熱伝導率、防火性能、防音性能、防湿性能、厚み、施工方法などの検討が必要になります。
断熱性能を表す数値として外皮平均熱還流率「UA値」で表記します。
「UA値」は、「床（基礎）・壁（外壁）・天井（屋根）・開口部（窓）」などを通して外部に逃げる熱量を外皮全体で平均した数値です。値が小さいほど熱が逃げにくく、省エネルギー性能が高いことになります。
計算式は下記のとおりです。
外皮平均熱貫流率（UA値）＝熱損失（w/k）÷外皮面積（㎡）
断熱地域区分は、H25年に日本全国を8つの地域に区分してあり、UA値は地域ごとに基準となる数値が決められています。
1.2地域（北海道）
3 地域（青森県、岩手県、秋田県）
4地域、5地域、6地域と続き
7地域（鹿児島県、宮崎県）鹿児島県で伊佐市、曽於市、さつま町、湧水町、旧横川町、旧牧園町は6地域に該当
8地域（沖縄県）断熱基準無し
寒い地域ほど断熱性能を高める必要があり、暖かい地域は断熱材を少し少なくしても基準を満たします。
以前は、1級建築士も鹿児島は暑い地域だから高気密・高断熱住宅は必要ないと言っている人もいましたが、10月頃まで30℃を超える外気温が続けば冷房効率を考えやはり断熱性能を高めないといけません。
鹿児島県内でも6地域と7地域があるように、同じ県でも寒い場所、暖かい場所で地域が分けられることもあります。
断熱材の種類は様々ありますが大きく分けて
「発泡プラスチック系断熱材」と「繊維系断熱材」があります。
「発泡プラスチック系断熱材」には、
・押出法ポリスチレンフォーム（発泡スチーロール）
・ビーズ法ポリスチレンフォーム（正匠で使用、E3、3種ｂ）
・硬質ウレタンフォーム
・吹付硬質ウレタンフォーム
・フェノールフォーム
などがあります。
「繊維系断熱材」には
・グラスウール（ガラス繊維）
・ロックウール（石綿繊維）
・セルロースファイバー（古新聞紙）
・ポリエステル繊維断熱材（ペットボトル再利用）
・羊毛系断熱材
などがあります。
ちなみに弊社では、現場吹付硬質ウレタンフォームは諸問題の解決がされないため使用しません。また繊維断熱材もセルロースファイバー以外お勧めいたしません。
詳しいことは、「失敗例に学ぶ・暮らしを整える」家づくり個別セミナーにご参加いただければ詳細をお話しいたします。
断熱材は、それぞれに長所短所があります。各住宅会社が仕入れ等、金額的なことや自分たちが現場で使いやすい断熱材を使っていると思います。
実は断熱材メーカーとそれを販売している建材店が営業に来て、この断熱材が良いですよ。金額は〇〇で1棟目は安く出しますので是非使ってみてください。などと営業をかけてくるのをそのまま使ったり、とにかく安い断熱材を使う住宅会社もあれば、初期費用は高くなるが高気密・高断熱住宅のUA値や健康に良い理由等をしっかり説明してお客様に納得してもらった上で高性能断熱材を採用している住宅会社もあります。
断熱性能の高い断熱材は、それなりの値段はします。また、高性能の断熱材を使う住宅会社は気密測定を一棟ずつしている会社も多いです。
高性能の断熱材を使ってしっかりとした施工をしている住宅会社は、断熱材だけでなく気密もしっかり取らなければならないことを勉強して、理解している会社です。
後は、それぞれの住宅会社の家づくりに対する思いや工法的な部分で特徴が出ますので、
お気に入りの住宅会社が見つかったらどのような断熱材を採用してどのような納め方をしているのか、気密測定は工事中に行うのか、完成時に行うのか、過去の気密測定の平均的な数字を聞いた方が良いでしょう。
